─ 応答の仕組みとアプリ開発のポイント─ 顧客チャネルとしてのスマートスピーカー 1/2

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近年、日本でもスマートスピーカーの認知率が高まり、PC やスマートフォンに次ぐ新しい顧客チャネルとなり得るデバイスとしての期待も寄せられている。本稿では、スマートスピーカー向けのサービスを開発する上で押さえておくべき重要なポイントについて、実際の開発を通じて得られた知見を基に解説する。


クラウド事業推進部 モバイル事業推進課 主任システムエンジニア 佐藤 雄也

認知率が高まるスマートスピーカー

ここ数年、米国Amazon.com 社の「AmazonEcho」や米国Google 社の「Google Home」をはじめとする、音声で操作可能なアシスタントデバイスであるスマートスピーカーが話題となっている。音声による操作といえば、米国Apple 社の「Siri」やGoogle 社の「Google Assistant」のような、利用者の音声に応答するスマートフォンのアシスタント機能としてすでに利用されているが、スマートスピーカーは主に自宅やオフィス、車の中などで据え置き型のデバイスとして利用する。

スマートスピーカーには共通して、利用者へ情報(天気、交通情報など)を伝えたり音楽を再生したりするスピーカーと、利用者の音声を聞くマイクの他、クラウドに接続するための無線LAN 通信モジュールが搭載されている。また、事前の設定が必要ではあるが、音声の指示に従って家電製品を制御するといった高度な操作にも対応する。

日本では、まだスマートスピーカーの所有率は低いと思われるが、2018 年2 月のアイブリッジ社の調査によると、認知率はすでに50%を超えている(http://www.research-plus.net/html/investigation/report/index128.html参照)。今や生活必需品となっているPC やスマートフォンと同様に、スマートスピーカーも遠からず家庭とクラウドをつなぐ重要なインターフェースとなることは間違いないであろう。

スマートスピーカーのもう1 つの大きな特徴は、サードパーティーによる機能の拡張が可能だということである。すでに多くの企業や個人が拡張機能のアプリを公開している。まだそれほど普及しているわけではない日本でも、今後の普及を見越して、あるいは普及に弾みをつけるために、2018 年5 月現在「Amazon Echo」用には700 種類以上、「Google Home」用には300 種類以上のアプリが配信されている。

顧客チャネルとしての活用

以上のような特徴や可能性から、スマートスピーカーの用途として有望視されるのが顧客チャネルとしての活用である。実際、米国Domino’s Pizza 社の英国法人は、ピザの宅配サービスの注文をスマートスピーカーでできるようにしている。これは、もともとWebサイトやFacebook などで提供していた「イージーオーダー」と呼ばれる機能(事前に登録したメニューを少ない操作で注文できる機能)をスマートスピーカー用アプリに移植し、自宅などから音声のみで注文できるようにしたものである。同社によると、サービス開始から2 カ月後には、「イージーオーダー」で注文する顧客のうち5 人に1 人がスマートスピーカーを利用するようになったという (https://digiday.jp/brands/dominos-getting-people-order-pizza-amazon-alexa/参照)。一見すると単なる趣味の対象のようなデバイスが、アイデアや企画次第でビジネスにつながることを示すものといえる。

スマートスピーカーの仕組み

サービスの開発に当たっては、スマートスピーカーとそのアプリがどのような仕組みで動作しているのかを理解する必要があることは言うまでもない。ここでは、スマートスピーカーの仕組みとともに、利用者に受け入れられ、長く使われるアプリを生み出すための企画の進め方や開発における注意点について、NRI ネットコムが顧客のサービスの利便性を高めることを目的に実施したPoC(Proofof Concept:概念実証)の経験に基づいて解説することにする。

ここでは代表例として、「Google Home」向けの「Google Assistant」用アプリが動作する仕組みを解説する。「Google Home」以外の一般的なスマートスピーカーでも基本的な仕組みは変わらない。

「Google Home」本体を含むアーキテクチャーの全体像を図1に示す。特徴的なのは、アプリを含むリソースがすべてクラウド上に置かれているという点である。利用者側からは「Google Home」の中でアプリが動いているように見えるが、実際にはネットワークを介してクラウド側のサーバー上で動作する。そのため、開発者側がアプリに機能を追加した場合も、利用者はバージョンアップの操作をすることなく新しい機能を利用することができる。

「Google Assistant」は、「Google Home」(あるいはスマートフォンなどの「GoogleAssistant」対応端末)とアプリの間をつなぐ仲介役で、利用者の呼び掛けに応じてアプリを起動し、発話内容をアプリに伝えたり、アプリからの応答を「Google Home」へ伝えたりする役割を持つ。「Google Home」から送られる音声化された発話内容は、「GoogleAssistant」がテキストデータに変換してアプリに伝えている。

アプリは基本的に「Google Assistant」の背後で受動的に動作する仕掛けとなっており、利用者の発話内容の解析、解析結果に基づく返答内容の選択を役割とする。アプリは主に「Dialogflow」と呼ばれるクラウドサービスを用いて開発される。応答の仕組みは非常にシンプルだが、アプリによって利用者と「Google Home」との会話のバリエーションを増やし、よりスマートな音声アシスタントとすることができる。

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