─ ユーザー視点を重視した画面設計の高度化 ─(塚田一政) ビジネスに貢献するUI/UXのつくり方 2/3

20171211

CASE 1:不動産検索サイトのUCD

UCD の導入方法について、ケーススタディ形式で解説する。ここでは不動産会社の不動産検索スマートフォンサイト(物件購入画面)を取り上げる。

不動産検索サイトを利用したことがある方はイメージできると思うが、検索フローは、検索条件設定→検索結果一覧→物件詳細情報の流れで進む。目的の物件が見つかったら店舗へ問い合わせをする。ここまでが不動産検索サイトに求められるミッションである。

それでは、前章の内容に沿ってUCD の導入手法を見ていこう。

(1)ユーザーモデルの定義

不動産検索サイトは不特定多数の人が利用するため、ユーザーモデルはさまざまである。ユーザーモデルの例として次のようなものがある。

①ユーザー像

・ 自宅用の物件購入を検討している30代夫婦。子供は3 歳児が1人。

・ 物件の種別(マンション、一戸建て、土地など)は決まっていないが、予算は決まっている。

・ 希望居住地域は決まっていないが都心から電車で○○分以内の地域。

②利用環境

・ 自宅で夫婦そろってサイトを閲覧し、さまざまな物件を比較・検討している。

・ 通勤時や外出時の隙間時間は、夫婦それぞれがサイトを閲覧し、物件の情報をお互いに共有している。

③利用デバイス

・ 通勤時の電車内など、移動中や外出先ではスマートフォンを利用してサイトを閲覧している。

・ 自宅ではPC、またはタブレットを使用している。

(2)目標・課題の定義から、行動シナリオの策定まで

不特定多数の人が利用する不動産検索サイトでは、目標・課題も多岐にわたる。例えば上記のユーザーモデルであれば「できるだけ多くの物件を夫婦で一緒に比較・検討するとともに、高額な買い物なので、長期間かけてじっくり検討した上で良い物件を買う」ことが目標であり課題ということになるだろう。次に、この目標・課題に基づいて具体的な行動シナリオを定義していく。

行動シナリオには、例えば次のようなものが考えられる。

①通勤電車内で大まかに物件を検索し、詳細は自宅で夫婦そろって検討する。

②一定の予算内で、複数の物件種別を検討する。

③比較・検討を長期間行う。

このように行動シナリオは、ユーザーの行動を、時間、場所、人物、思考といった軸にさらに分解し、実際のサービス利用シーンを想像できるところまで具体化することが望ましい。

(3)コンセプト定義からプロトタイプ開発まで

ユーザーの行動シナリオから、以下のようなコンセプトが導き出された。

・スマートフォンとPC 間の情報連携による、シーンを選ばない不動産検索。

・多様な切り口で多数の物件検索。

・不動産選びを長期間サポート。

実際にはユーザーのニーズだけでなく、業務要件、競合サービス、市場環境なども考慮する。またUX 向上のためのコンセプト検討も忘れてはならない。

その後、デザイナーが中心となってUI を設計していく。画面内のレイアウトや、導線、配色、フォント、トランジション(画面切り替え演出)などのUI デザインを設計し、ビジュアル面でのUX を向上させる。デザインに加えてユーザビリティ(使いやすさ)も、UX 向上の重要な要素である。

そして、画面設計コンセプトから、図1のようなプロトタイプのUI 案(検索結果一覧画面)が作り出された。

UI のポイントは、以下の通りである。

・一覧から外観や間取りを比較できる。

・タブによる検索条件の切り替え。多様な切り口で多数の物件検索。

・物件情報をブックマークし、スマートフォンとPC で共有。

つまりこの画面のUX は、「外出先でも自宅でも、自分に合った物件情報を気軽に検索できる」ということである。また、画面の実装に当たり、サーバーとの通信の最適化、閲覧デバイスの物理的な制約など、デザイナーだけでは解決しない問題もある。そのため、開発チーム内での連携が必要であることは言うまでもない。

(4)ユーザー評価

設計・開発時に関係者がユーザー視点で画面設計を行っても、それはあくまで仮説である。仮説を検証するには、実際の利用環境にできるだけ近い状況で、ユーザーモデルに近い第三者による検証が必要である。本ケースの場合、通勤電車内での画面利用が行動シナリオの1つであったため、立った状態、かつ片手で画面を操作し、ユーザーが目的を達成できるか、課題解決ができるか、より多くの行動シナリオに最適化された画面であるかの検証を行った。

併せてビジネス視点での検証も行う。不動産検索サイトのKPI(Key PerformanceIndicator:重要業績評価指標)は、物件への資料請求数や問い合わせ数の場合が多いが、KPI達成のために画面設計に不備がないかについても十分に検証しておく必要がある。

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