施策のつながりを分析し、効果を最大化 投資対効果を高めるデジタルマーケティング分析 2/2

201705

各施策の事例

3 つのプロセスそれぞれにおいて有効な施策を紹介する。

(1)「ものやサービスを周知する」ための施策

この段階は、ゴールに到達する見込みが高い消費者に訪問してもらうことが求められる。以下の2 つの施策が有効である。

① Run of Network

リーチ可能な全消費者を網羅して、広告を配信する施策である。広告配信を、全消費者からゴールを達成するだろう消費者へ自動的に絞り込んでいく手法だ。

仮説に沿ってペルソナを作成し、ターゲティングを行ってから広告配信する方法では、有望な消費者を取りこぼす可能性が出てくる。Run of Network ではペルソナを限定せず、全消費者を網羅するので、有望な消費者を取りこぼす可能性は低くなる。

② Look-A-Like

ゴールを達成した消費者と類似した消費者をターゲットに、広告を配信する手法である。ゴールを達成した消費者に近しい消費者であるため、必然的にゴールに達成する可能性が上がる。また、似ている消費者であってもサイトを訪問しているとは限らない。そのため、この施策では、有望な新規消費者に商品やサービスを知らせることが可能となる。

重要なのは、商品を知った消費者が、ゴールに至るプロセスのどの段階にいるのかを可視化しておくことである。消費者がどのプロセスにいるのか把握し、次に進んでもらうための施策こそ、「欲しい、または利用したいと感じさせる」ための施策にほかならない。

(2)「欲しい、利用したいと感じさせる」ための施策

ここで必要なのは一人一人の消費者に対して伝えるメッセージを変えることである。そのためサイトを訪問した消費者への再訴求が施策のメインとなる。

① 行動リターゲティング

サイトを訪問した消費者を対象に、サイトにおけるその後の行動の違いによって訴求するメッセージを変える方法である。例えば、サイトを訪問したがすぐに離脱した消費者と、商品の詳細まで閲覧したが離脱した消費者では、商品に対するモチベーションが異なる。この場合、サイトからの離脱理由を消費者の行動別に考えた上で仮説を作成し、施策を繰り返していくことになる。

②動的リマーケティング

消費者がどのようなサイトを訪問したかによって、さまざまな商品を訴求していく手法である。消費者のニーズに完全に合致した商品情報を届けることは難しいが、サイトでの行動を基に、消費者が求めているものにより近い情報を届けることは可能である。例えば、温泉旅行を検討している消費者がサイトを訪問し、目当ての商品情報を得られなかった場合、消費者はそのサイトからは離脱するが、サイトでの行動から関連した商品の情報を複数配信し、消費者が求めている商品に接する頻度を高められる。

この施策の目標達成度を測るには、商品を認知した消費者が、これらの施策によって再訪問して意図した行動をとっているか、また最後のゴールに至らせる施策につながっているかを把握することが必要となる。

(3)「ゴールに至らせる」ための施策

この施策の目的は、競合企業に消費者を奪われないことである。旅行の契約であれ、生活用品の購入であれ、消費者にとってどこで購入するかは問わないことも多い。購入意欲が高まった消費者が競合サイトで商品を購入してしまっては、今までの施策が全て無駄になる。そのため、消費者が購入しようとした瞬間、例えばWebでその商品を検索する時に、求められている商品やサービスの広告を表示することが必要となる。以前はリスティング広告をうまく配信することが求められたが、Google の検索アルゴリズムの変更により、現在はショッピングリスト広告が主流である。これはリスティング広告よりも上位に表示される確率が高く、さまざまな商品を表示できるためである。

ゴールに到達した場合、そこに至った消費者の属性(性別や年齢、興味・関心など)を調査できる。そこから、あらためて自社商品のユーザーのペルソナはどんな消費者なのかを知ることができる。この結果を「ものやサービスを周知する」施策につなげ、費用対効果を上げていくことが、つながりを意識した施策の立案にほかならない。

ツールを使った効果測定

重要なのは施策の効果測定であり、施策同士のつながりを分析できているかである。ゴールまでのつながりや相関を分析するには、分析ツールを活用するのが効果的である。

NRIネットコムでは分析ツールとして Googl eAnalytics 360 を推奨している。施策同士のつながりを分析でき、さまざまな分析が行えるツールとして、非常に有効である。デジタルマーケティングの費用対効果を最大限にするために、これらのツールの活用も検 討してはいかがだろうか。

邑川真也

執筆者 邑川真也

デジタルマーケティングの最適化を専門に行っています。
(デジタルマーケティング事業部 デジタルマーケティングコンサルタント)

本稿は、野村総合研究所発行の「ITソリューションフロンティア」2017年6月号に掲載されました。

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